天皇器官説

天皇は脳髄、官僚は神経、臣民は細胞!

天皇器官説序論

天皇器官説」は、第三次戦間期の大日本皇国憲法下で確立された「三体(国体観念、主体思想全体主義)」に基づく世界観である。

天皇は脳髄、官僚は神経、臣民は細胞」の言葉に代表されるように、「国家」を一つの生物と見做し、「生存」延いては「増殖」を究極の国家目標とする。

有機的国家論(国家有機体説)のひとつである。

 

大日本皇国では、「新陳代謝」の標語の下に各種社会保障の大削減や命の選別、臓器籤が公然と行われたが、その対象となった人々でさえもその多くが運動を熱狂的に支持し参画したことは特筆に値する。

他にも「適応免疫」と称する、嘗ての尊王攘夷運動を思わせる極端な排外主義は、大日本帝国時代から引き継いだ拡張主義とのその後の合体と併せて「アジア地域を極端に見下す近代日本の象徴的な病理」として西米ドナルド・トランプ氏を始めとする多くの学者から指摘されている。

 


本稿では、今日ナチズムとも比較されるこの狂気の運動及び思想を、第二次世界大戦終盤に於けるアメリカ合衆国の16発の対日反応兵器使用まで遡り、「昭和」「化成」「天翔」と続く現代日本史を、大日本帝国の対連合国条件付き降伏から昭和天皇主導の「日本の奇跡」と呼ばれる高度経済成長、第三次世界大戦昭和天皇崩御、その後の田中、浜田政権の成立、また第四次世界大戦戦勝後の中華合衆国連邦との熾烈な冷戦とその果ての両国の崩壊を通じて、現在人類悪ともされる「天皇器官説」とその根幹を成す「三体」の「国体観念」「主体思想」「全体主義」それぞれの成立と成熟、崩壊の100年間について俯瞰的に論じたい。

 


(カール・レーフラー/「天皇器官説序論」より抜粋)